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 3. 方丈記の冒頭文「ゆく川の流れは絶えずして」の原文と現代語訳と解説

1万年堂ライフ Ichimannendo-Life

2022.06.16

 1. 人生


方丈記の冒頭文「ゆく川の流れは絶えずして」の原文と現代語訳と解説


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「方丈記の最初の言葉ってどういう意味だっけ?」

「方丈記の冒頭文を知りたい」

方丈記の冒頭は有名ですので、このような人たちは多いです。

今回は、方丈記の冒頭「ゆく川の流れは絶えずして」から始まる文章を、「こころに響く 方丈記」をもとにわかりやく現代語訳しました。

この記事はこんな人にオススメ

 * 方丈記の冒頭文に関心がある人
 * 「ゆく川の流れは絶えずして」を詳しく知りたい人
 * 方丈記冒頭文の現代語訳を知りたい人

 

この記事では、冒頭を紹介するのみですが、より詳しく方丈記の概要を知りたい方は、下記をご覧ください。

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人生


災害と向き合い、乗り越えてきた古典の知恵 〜『方丈記』を紐解く

方丈記の冒頭について解説は、一番下にありますので、先に見たい方はこちらからご覧ください。



目次

 * 冒頭文の原文と現代語訳を紹介
   * ゆく河の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず。
   * よどみに浮かぶうたかたは、かつ消えかつ結びて、久しくとどまりたるためしなし。
   * 世の中にある人と栖(すみか)と、又かくのごとし。
   * たましきの都のうちに、棟を並べ、甍を争へる、高き、卑しき、人の住まひは、世々を経て尽きせぬものなれど、これをまことかと尋ぬれば、昔ありし家はまれなり。
   * あるいは去年焼けて今年作れり。あるいは大家滅びて小家となる。住む人もこれに同じ。所も変はらず、人も多かれど、いにしへ見し人は、二、三十人が中に、わづかにひとりふたりなり。
   * 朝に死に、夕べに生まるるならひ、ただ水のあわにぞ似たりける。
 * 方丈記冒頭について解説
 * 「こころに響く 方丈記」について
 * 話題の古典、『歎異抄』



 


冒頭文の原文と現代語訳を紹介

「ゆく河の流れは絶えずして」から方丈記の冒頭部分は、非常に有名で『声に出したい日本語』として選ばれるほどリズムや文体が綺麗です。じっくり読みたい日本語ですね。

方丈記はそれだけではなく、深い内容が書かれていますので、以下では木村高耕一さんの訳を紹介します。

 


ゆく河の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず。

【現代語訳】
さらさらと流れゆく川の水は、絶えることがありません。しかもよく見てください。新しい水と、常に入れ替わっています。勢いよく変化しています。

 


よどみに浮かぶうたかたは、かつ消えかつ結びて、久しくとどまりたるためしなし。

【現代語訳】
流れが止まっている水面には、ぶくぶくと泡が浮かんできます。しかも大きな泡も、小さな泡も、生まれたかと思うと、すぐに消えていきます。

いつまでもふくらんでいる泡なんて、見たことがありません。

 


世の中にある人と栖(すみか)と、又かくのごとし。

【現代語訳】

まさに人の一生も、同じではないでしょうか。

川の流れのように幸せも、悲しみも、時とともにスギていきます。

水面の泡のように、大切な家も、財産も、人の命も、儚く消えていくのです。

 


たましきの都のうちに、棟を並べ、甍を争へる、高き、卑しき、人の住まひは、世々を経て尽きせぬものなれど、これをまことかと尋ぬれば、昔ありし家はまれなり。

【現代語訳】

宝石を敷き詰めたような美しいところ、それが京の都です。

ここが、都に定められてから四百年、人々は、競い合うように、りっぱな住まいを築いてきました。

「こんなに苦労して建てた家だから、子や孫の代まで、末永く残ってほしい」と皆、願っています。

果たして、その願いは、かなうでしょうか。実際に調べてみると、私の若い頃に栄えていた家は、ほとんど残っていません。

 


あるいは去年焼けて今年作れり。あるいは大家滅びて小家となる。住む人もこれに同じ。所も変はらず、人も多かれど、いにしへ見し人は、二、三十人が中に、わづかにひとりふたりなり。

【現代語訳】
「昨年、火災に遭ったので、建て替えたばかりです。」

「今は、こんな粗末な家ですが、元は豪邸だったのですよ」と言う人ばかりでした。

昔、顔見知りだった人を訪ねてみると、あの人も、この人も、亡くなっていて、ほんのわずかしか生き残っていません。

 


朝に死に、夕べに生まるるならひ、ただ水のあわにぞ似たりける。

【現代語訳】
都には、大勢の人が住んでいますが、朝、誰かが死んだと思ったら、夕方には、だれかが生まれています。

まるで浮かんでは消えていく水の泡のように、人は生まれ、短い一生を送り、やがて跡形もなく消えていくのです。


方丈記冒頭について解説

方丈記の冒頭には「無常観」が切々と書かれています。

無常観とは、仏教の言葉で、「すべてのものは移ろい変わりゆくものだと観ずる」ことです。

これは、一番最初の「ゆく川の流れは絶えずして」の言葉でも表現されており、また方丈記全体のテーマでもあります。

無常については、こちらの記事にも書かれていますのでご覧ください。

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その他


祇園精舎の鐘の声…に始まる『平家物語』のテーマ「諸行無常・盛者必衰」とは

鴨長明の生きた時代は、戦争や災害が重なり、大変な時代でありました。

長明は以下の5大災害を経験しています。

 * 安元の大火
 * 治承の辻風
 * 福原遷都
 * 養和の飢饉
 * 元暦の大地震

多くの財産も、豪華な家も、すべて一瞬のうちになくなることを長明は身を持って経験していました。

その経験をとおした思想が、方丈記冒頭に見られます。

そして鴨長明は晩年、方丈庵という小さい住居に住みました。

方丈記の「方丈」の由来は、一丈(約3m)四方に囲まれた鴨長明が住まいした方丈庵にあります。

方丈庵について詳しくはこちらの記事にもあります。

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人生


『方丈記』に記された、理想的な住まい 〜鴨長明は、移動式「方丈庵」を発明した

鴨長明は、50歳を超えて出家し、生きていくことに必要なものだけを用意し、小さい庵にこもり、無常の世の中をみつめながら、本当に大事なことは何かについて方丈記に書きました。

その冒頭に書かれたのが無常観ですが、ではなぜ最初に無常観を書かれたのでしょうか。

それは無常という現実をみるのはつらいですが、その事実を知ることで本当に大事なことがなにかがわかるからです。

これを仏教では次のように言われます。

> 「無常を観ずるは菩提心の一なり」
> (無常を見つめることは、幸せになりたいという心をおこす第一歩である)

限りある人生を見つめたとき、本当の幸せとは何かが初めて問題になるのだと思います。


「こころに響く 方丈記」について

「こころに響く 方丈記」は、原文を忠実に現代語訳するだけでなく、当時の状況や鴨長明について、わかりやすく解説しています。

困難な人生を生き抜いた鴨長明の思想が、方丈記に余すことなく記されています。

続きを知りたい方は、「こころに響く 方丈記」をご覧ください。


こころに響く方丈記

木村耕一(著) 黒澤葵(イラスト)

 *  * 
    * 商品詳細ページへ

 


話題の古典、『歎異抄』

先の見えない今、「本当に大切なものって、一体何?」という誰もがぶつかる疑問にヒントをくれる古典として、『歎異抄』が注目を集めています。

令和3年12月に発売した入門書、『歎異抄ってなんだろう』は、たちまち話題の本に。

ロングセラー『歎異抄をひらく』と合わせて、読者の皆さんから、「心が軽くなった」「生きる力が湧いてきた」という声が続々と届いています!




歎異抄ってなんだろう

高森顕徹(監修) 高森光晴・大見滋紀(著)

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歎異抄をひらく

高森顕徹(著)

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この記事を書いた人

涼介

法律系の記事や取材記事を得意とします。 最近ではHSP・HSCの記事を中心に執筆し、読者にとってわかりやすい記事作成を心がけています。


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