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株式会社ウチヤマホールディングス|介護事業のSDGSとは? 〜介護業界の明るい未来が見えるウチヤマホールディングスの取り組み〜

2022年9月22日



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株式会社ウチヤマホールディングス 嶋井 太郎様 インタビュー



嶋井 太郎

1974年、福岡県北九州市生まれ。
大学卒業後、株式会社NTTデータに就職しSEとして3年間働いた後、Uターンのため退職。その後1年間は牧場でのアルバイトや国内旅行、インドでのバックパッカーとしての生活を送った後、2001年3月にカラオケ店や飲食店を展開する株式会社ボナーに入社。社内システムの開発・メンテナンスや総務、広報などの仕事を経験し、2006年10月にIPOを目指して設立された親会社の株式会社ウチヤマホールディングスへ転籍。経営企画室の一員として上場準備に携わる。2014年6月に監査役就任、その後、取締役監査等委員を経て、現在は経営企画室の室長として中期経営計画の策定や社内のDX化、SDGsの推進などを担当。自ら入社時に立ち上げた社内報「ウチヤマタイムズ」は約21年間制作・編集に関わり、2022年9月から電子版のオウンドメディアへと完全移行した。

目次

 * introduction
 * 創業51周年。社会貢献への強い思い。
 * インドネシアから多くの若い人材が介護施設で活躍
 * これからの広報誌の在り方とは?
 * 新しい技術を取り入れた取り組みも続々と


INTRODUCTION

介護事業を主軸に、飲食・カラオケ業など幅広く事業を展開するウチヤマホールディングス。少子高齢化に伴い、介護業界の労働力不足が叫ばれる中、いち早く外国人技能実習生の受け入れを始めました。また、広報誌の電子化や紙オムツの削減、代替肉の導入など、多方面にわたるSDGsの取り組みを行っています。今回、広報誌「ウチヤマタイムズ」の編集長も務める、経営企画室長の嶋井太郎さんにお話を伺いました。


創業51周年。社会貢献への強い思い。

–事業内容について教えてください。

嶋井さん:

「株式会社ウチヤマホールディングス」は、もともとは不動産事業が母体となってスタートし、その後介護事業や飲食業など、様々な事業を手がけて2021年に創業50周年を迎えました。

一番のメイン事業は子会社である「さわやか倶楽部」の介護事業です。介護付きの有料老人ホームやデイサービス、グループホームなどを全国に約100箇所展開しております。また、障がい者支援事業として、小学生から高校生までの児童生徒を対象にした放課後デイサービスも全国に22カ所立ち上げて運営しております。

さらに、こちらも子会社の「株式会社ボナー」では、コロッケ倶楽部というカラオケ店を全国に82店舗、居酒屋やバーなどの飲食店を九州中心に11店舗運営しております。

–どのような経緯からSDGsに力を入れたのでしょうか。

嶋井さん:

最近でこそ、「サステナビリティ」や「SDGs」という観点での事業を通じて社会貢献を行うことが主流となってきましたが、当社は、前社長(現会長)である内山の思いもあり、昔からCSR(企業の社会的責任)に力を入れて取り組んできました。具体的な例では、大地震や集中豪雨などの自然災害によって、高齢者の方や介護が必要な方が住む場所に困った時に、私どもの施設で無料で受け入れました。

この精神が土台にあり、2021年に社長に就任した山本が自ら旗振り役となって、SDGsの活動を推進していくことを表明しました。

同じタイミングで北九州市が「北九州SDGs登録制度」を開始したので、まずはこちらに登録し、その後社内でどのような活動を推進していくか話し合う委員会を立ち上げて、私が事務局長を務めています。


インドネシアから多くの若い人材が介護施設で活躍



–次に、SDGsに関する具体的な取り組みを教えてください。

嶋井さん:

様々な取り組みを行っていますが、まずは介護施設での外国人技能実習生と特定技能外国人の受け入れについて紹介します。

介護業界全体の課題として、慢性的な労働力不足が挙げられます。この解決策は主に2パターンあり、ロボットの導入や、データのオンライン管理などで業務の効率化を図るIT化と、もう一つが外国人を日本国内に受け入れて働いていただくことです。

我々は、外国人労働者を国内に受け入れる流れが今後は加速すると予想し、それに向けた準備を進めました。しかし当時はまだ、外国人が日本国内で従事するための制度、いわゆる現在の特定技能制度のような仕組みが整備されておらず、労働者として受け入れることができなかったのです。

そこで、技能実習生として日本の介護について実践を通しながら学んでもらい、それを本国の介護事業に生かしていただく、といった目的での受け入れから始めました。これは、いずれ入ってくるであろう外国人労働者に対する教育の実践方法や、生活サポートなどのノウハウを蓄積できるであろうという思いもありました。

–インドネシアから多くの技能実習生を受け入れていますね。

嶋井さん:

当社の担当者がアジアの候補地を見て回り感じたことの一つに、インドネシアやミャンマーの方は、日本語を習得して話せるようになった時に、言葉のイントネーションが他国の方と比べて自然でなじみやすいということがありました。

加えて、インドネシアの魅力は人口の多さです。世界第4位の人口を抱える国であり、特に若い人が非常に多いことから、私たちの施設ではインドネシアの方を積極的に受け入れています。

また当社では、インドネシアに職業訓練校を開設して、主に日本語の教育を行っています。この学校では、我々の介護施設に内定している方だけではなく、ホテルや農業関係に就職される方もいます。そのため、介護に特化した教育ではなく、あくまで一般的な日本語を教えています。仕事で使う場面も想定していますし、日常生活において必要な会話のパターンを教えているという感じですね。

インドネシアの方は、世界の労働力を補うという観点で色々な国から声をかけられていると思います。しかし、その中でも日本を行き先として選び、さらには当社にそのまま内定している方においては、学習に対する意欲がものすごく高い印象です。

–入所者や職員との関わりについてはいかがでしょうか。

嶋井さん:

入所者の方々が、どのような反応を示すかについては私たちも非常に気がかりでした。ですが、実際に関わりを持つ中で、非常に親密で違和感なくコミュニケーションが取れていると感じています。

勤務状況においても、何せ明るい方が多く、何事にもすごく前向きですね。そういう意味で施設の雰囲気がよくなったり、仕事に対する姿勢を私たちも見習わないといけないと思うきっかけになったりと、いい潤滑油になっています。受け入れて本当によかったと思いますし、同じような声を施設の皆様から多くいただいています。




–これからさらに外国人労働者の重要性が高まりそうです。今後もますます活躍してほしいですね。

嶋井さん:

日本は、これからさらに高齢化が進みますので、日本人の労働力だけで介護の人材を賄うのは厳しくなってくるでしょう。その中で、日本を選んで来ていただける外国人の重要性というのは、今後ますます高まってくると感じています。

そのため、当社の介護施設で受け入れることはもちろんですが、業界他社への紹介ができるような仕組みづくりにも取り組んでいるところです。

同時に、外国人の方のフォロー体制の構築も進めています。外国の方は、自国を離れて日本の文化慣習に慣れるだけでもストレスがかかりますし、体調を崩した時にどこに行けばいいか分からないこともあると思います。

そこで2022年7月より久留米大学と東京家政大学との産学連携で共同研究を進めています。この研究では、外国人職員の方や技能実習生のメンタルヘルスの相談を受けたり、口腔内チェックを行ったりしています。これにより、日本で生活する上での健康管理の課題を把握し、的確なアドバイスを送れるようにすることを目指しています。今後正確なデータが出てくると思うので、具体的な取り組みを検討していきたいですね。


これからの広報誌の在り方とは?

–話は変わりますが、創刊21年を誇る広報誌「ウチヤマタイムズ」も特徴的な取り組みですよね。

嶋井さん:

「ウチヤマタイムズ」は創刊当初は社内報として、当時の社長から私に直接依頼があってスタートしたものです。会社の1ヶ月の動きがコンパクトにまとまっていると好評をいただき、そのうち取引先や入所者のご家族にもお送りするようになりました。

誌面には入所者の方の顔が映っているお写真を掲載しており(事前に入所者やご家族からの了承済)、会社の動きだけでなく施設の様子や雰囲気がより伝わりやすくなりました。

記事内で社員を取り上げる機会も多いのですが、掲載された本人がそれを読んで喜ぶ姿を目にすると、非常にやりがいや達成感を感じることができました。また、広報誌を社員の家族にも送っており、例えばご両親に読んでいただくことで、自分の子どもが「どんな会社でどのように働いているか」の理解を深めることにもつながっていると思います。




–21年間発行され続けて、いろんな苦労もあったのではないでしょうか。

嶋井さん:

なるべくみんなが前向きになれるように、プラスのイメージで捉えていただけるような情報を意識して選んでいますが、もちろん、いつもうまくできるわけではありません。例えば、大きなネタが常にあればいいのですが、会社としてあまり動きがない時期もあります。そういう時は、どう社内での情報を拾い上げるかという苦労もありましたね。しかし、周囲の方から意見を聞いたり、社内外の読者の方より直接アドバイスをいただいたりして、ここまで続けることができました。本当に皆さんのご協力のおかげだと思っています。

ウチヤマタイムズは、9月号を最後に紙媒体での発行を終了し、電子媒体に移行しました。電子媒体に移行した今後の広報の在り方としては、難しいところもあります。例えば、ネットが苦手で、紙媒体がなくなったことで読めなくなるなど、届けられる方が一時的に減ってしまうこともあります。

そういった課題がある一方で、インターネットを活用した配信により、逆に今まで目にされなかった方に届けられる手段になったとも考えています。ブログ形式とSNSをうまく組み合わせることで、より幅広くタイムリーな情報を発信できたらと思います。

–「ウチヤマタイムズ」を読み、入居者だけでなく、掲載されている女性職員の方が生き生きとした表情をしていることも印象的でした。女性が働きやすい環境や取り組みがあるのでしょうか。

嶋井さん:

介護事業においては、元々女性職員の方が多いこともあり、管理者の女性の割合は多くなっています。上司が女性だと、周りの女性職員が働きやすくなるというのはあるかもしれないですね。女性特有の、例えば子育てに関する悩みや微妙な体調の変化などは、どうしても男性だけだと気付きにくいことや理解が難しいことがあります。女性同士だから分かり合えるということは、随分あるのではないかと思います。

逆に、カラオケや飲食の部門においては女性の管理者の数がまだまだ少ないので、女性が活躍できる職場環境の整備をSDGsの重点取り組み項目の1つに挙げています。


新しい技術を取り入れた取り組みも続々と



–その他の取り組みについてはいかがでしょうか。

嶋井さん:

介護施設で使っている紙オムツの量を減らすと同時に、入所者の方の睡眠の質を高める取り組みをユニチャームさんと共同で行っております。

マニュアル通りだと、一晩の間で数時間おきに一度、紙オムツを交換することになっています。しかし、排泄のタイミングは人それぞれですから、必要がないのに交換してしまったら余計な廃棄物を生み出します。また、交換時に体を動かすことによって、睡眠が妨げられることにもつながります。

そこで入所者一人一人の排泄パターンを把握し、その方に合うオムツの種類を選択することにより、その方にとって最適なタイミングで交換するという実証実験を進めています。

カラオケ店の「コロッケ倶楽部」においては、今までドリンクバーにプラスチックストローを置いていましたが、環境へ配慮した取り組みということで、ご希望される方のみ提供させていただいております。また、「大豆ミート」を材料に取り入れたカツ丼や唐揚げのメニューを新しく追加しました。

今後は社内のSDGs推進メンバーを中心に、各店舗や施設単位でもSDGsの観点での労働環境改善や、ある環境問題に対してどんな取り組みができるかなど、それぞれのテーマを決めて情報交換や意見の集約を行ってもらおうと考えています。そしてそれを会社全体の取り組みに繋げていくことで、社員一人一人が参画していることを実感できるような活動を展開していきたいですね。

–貴重なお話をありがとうございました。

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重田信 ライター

奄美大島出身。大阪府在住。日本人学校の教員として、タイに3年、中国・深圳に5年間滞在。帰国を機にライターを始める。教員経験や育児をきっかけにSDGsに興味をもちました。分かりやすく、読んでいただいた方の心に残るような記事をお届けします。

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