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わたしが観てきたメグロ 



(第八十七回) 「第4回 メグロ・キャノンボール 2024」・参加メグロ車より、~其の壱~ 





ようこそ!「わたしが観てきたメグロ」では、S-8レストア用に各地で資料用に撮影した写真、
参加イベントで巡り会ったメグロの写真を紹介します。



◎ 今回は、2024年11月3日に行われた「第4回 メグロ・キャノンボール 2024」
  より参加メグロ車を紹介します。








◎ このイベントですが、かつて目黒製作所の烏山工場が在った那須烏山市に於いて、
  街起こしの一環としてバイクブランド「メグロ」をメインにした取り組みのひとつ。
   「メグロの聖地 那須烏山」をイメージタイトルに掲げて、市の商工会、観光協会が
  主催活動されてられます。
  ※公式イベントレポートは こちら

  メグロ・キャノンボールは「メグロ号」の年に一度の里帰りと云う趣旨の下に、
  全国からメグロが集まる愛好家には堪らないイベントです♪

◎ 4回目と為る今年は、目黒製作所の創業百周年の年に当たると云うことで、
  記念の特別企画を盛り沢山に用意との由!
  これは拝見せねば~~~っと行って参りました♪

◎ 開催前日は荒天で開催も心配されましたが、当日は雲一つない晴天と為り
  最高のイベント日和に♪
  およそ200台ものメグロ車が集合~~~!  ブランド復活のモデル・
   MEGURO K3が多数観られる中、オールドメグロも70台余り!!

◎ 今回はメグロ創業百周年の目玉と為った500cc・Z型とZ3に注目してご紹介~♪




 (第八十七回)
 「第4回 メグロ・キャノンボール 2024」・参加メグロ車より、~其の壱~ 







 メグロ500・Z ('50年式)
  (1950年)

先のとおり、今年がメグロ創業百周年と云うことで特別展示がされたのがこちら!
メグロ初の市販オートバイ・ Z97の流れを引き継いだ戦後モデルのZ型です。
年式としては1950年との由、Z97の改良形式の戦前モデル・ Z98とはほぼ同じ仕様と為って在る。
その特徴としては、メグロエンジンが手本としたスイス・モトサコシ社のMAGエンジンの形態をそのままに、
1920年代の欧州車エンジンに視られるタイミングカバーと、点火系と発電系のユニットを重ね合わせた
マグダイナモを搭載、またエンジンヘッドはロッカーアームがローラーベアリングで支持されてカバーが付き、
防塵に拠る耐久性が良好。
トランスミッションはハンドレバーに拠る手動3段、英スターメイアーチャー社のミッションを改良国産化した
「メグロのギヤーボックス」
フレームはベロセットKSSモデルのものをベースに丸鋼管ろう付け組立がされた堅牢な構成。
資材の乏しい時代に於いてながら、戦前期同様の仕様で市販されていたとは立派!







今回展示がされた此の個体、先年に上映ヒットした話題作 「ゴジラ -1.0」の劇中にて、
主役俳優の乗用として使用されたもの。
劇中では特にアピールがされてはないが、公開後に一部マニアの間で話題と為り、
Webではハーレーや陸王ではと云った誤報も流れた由。
今年に入りメグロ創業百周年と云うことで、JR東日本とカワサキモータースのコラボイベント
「目黒とメグロの回顧展」の開催に際し、 此の個体が展示されるに当り
「ゴジラ -1.0」劇中登場車両で実際の撮影に使用された車両であることが明かされたもの。
なお現在、此の個体を管理維持されてられるのが栃木県鹿沼市に在るショップ、モト・シルバーライン。
イベント当日は演壇上での対談コーナーにて映画への出演に到る経緯などが明かされた。
※ 参照リンク








 ICI型:単気筒OHV4サイクルエンジン

先のとおり、メグロエンジンが手本としたスイス・モトサコシ社のMAGエンジンの形態をそのままに、
戦前期モデル・Z98型に搭載仕様のまんま。
シリンダに沿った右サイドにはプッシュロッド、その上部にはカバーリングされたロッカーアーム。
吸排気ポートは1in-2ex
クランクケースの側にタイミングチェーンケースとオイルポンプを配置。
タイミングチェーンはエンジン後部に置かれたマグダイナモ(タイミングイグニッションとダイナモの複合装置)
を駆動。
オイルポンプは弁式圧送のみでリターンのない掛け流し。







ボアxストロークは82x94、総排気量:498cc
最大出力:13HP /3800rpm







変速機は戦前期にメグロが英スターメイアーチャー社のミッションをベースに国産化したもの。
メグロ独自に改良開発されて「メグロのギヤーボックス」というブランドを確立。
戦前より自動車用機関として製造・販売されて信頼性が高い。
シフトパターンは手動3段。







プライマリチェーンサイド。
チェーンケースは鈑金プレス、クラッチは乾式。
キャブレターはミクニアマルのフロート別体タイプ。
エンジンヘッドは先のカバーリングされたロッカーアームより外側、バルブトップにかけて箇所は未だオープン形態。
当時としては不具合を生じ易い箇所のメンテナンスが不可欠であったことから敢えて旧来の開放構造。





 フロント廻り

フレームはメグロの市販二輪車第一号であるZ97以来の英ベロセット:KSSモデルに倣った仕様。
フロント廻りの構成もまた同様。
ホイールサイズは3.50x19in、片ハブドラム式制動を未だ自転車仕様の影響を残す。
懸架方式も戦後モデルとは云え1920年代の仕様であるガーターフォーク(松葉フォーク)
戦後の主流と為るテレスコピック式フォークの採用は次期モデルと為る Z2('51)から以降。
鋼板プレスに拠るフェンダーもZ97以来の形態。
基本仕様ではフェンダー上にお馴染みのネームプレート(風切り板)が在るのが定番ながら、
この個体では代わりに電照式と思われるマスコットアクセサリが付けられて在る。
純正オプションか社外アクセサリパーツなのかは不明ながら、とてもお洒落にマッチして在る。
フェンダーは前後の鋼棒ステーで保持されるが、
後部ステーは嵌めこみ保持で地面に押し下げればスタンドとしても使用。
終戦直後で路面状態が劣悪な道路事情ではパンクすることもしばしばな時代。
直ぐにスタンドしてパンク修理ができる仕掛けで重宝された。
ヘッドライトケースは砲弾型と云うよりはお椀型の表現が相応しいか?
レンズは球面で、ライトリムもレンズ曲面に沿うように鍔無し。
ガードバンパーに付けられた警音器(ホーン)は後付けのもの。
元には警音装置は無かったかと思われますが・・・
もしかすると手押しラッパ程度は付けて在ったかも!?







 ハンドル廻り

ハンドルの形態はセミアップで両端が少々手前に引いた、お決まりなメグロハンドル。
上体を起こした乗車ポジションで丁度両手がハンドルグリップに届く位置に合わせられるので、
所謂「殿様乗り」と為る。
ただ実車で拝見すると、思ったほどは幅が無いことが意外に思われる。
ハンドルレバーは今様の配置と変らず、左クラッチ右Fブレーキとアクセルグリップ
他には前時代を思わせる、進角とキャブのチョークの各レバーが付く。
ただ手元に電装のスイッチ類は無く、ライトケースの後端にダイヤル式スイッチとして前時代的な仕様が残る。
なおライトケース上面に在る計器はアンメータ。
ハンドルポストの中央に在るノブはステアリングダンパー。







 駆動系

メグロが最後まで採用した、エンジンと変速機構が分かれた別体式に拠る駆動系。
エンジン出力軸と変速機(クラッチ)の間を1次駆動(プライマリ)、
変速機出力軸から後輪ドリブンスプロケットで2次駆動(ドライブ)を為す。
利点としてはエンジンと変速機を別々にメンテナンスができるので余計な手間が少ない反面、
其々が独立した機器で在る為、部品点数が増して車格が大きく為り重量も重くなる。
それ故に、大型モデルを主力としたメグロだからこそ継続できた仕様であり、
カワサキに拠る併合の後までダブワンと云う独自モデルとして注目される。







 排気系

エキゾーストは先述のとおり2ポート仕様なので、単気筒エンジンながら車体左右に排気ラインが延びる。
メグロ車の消音器(マフラー)はキャブトンタイプとするイメージが主流だが、
実際には極少数モデルの短期間に存在したのみ。
当初はこのような古風なフィッシュテール様式をZ97以来Z2まで継続。
後継のZ3および Z5の初期モデルまでの短期間がキャブトンタイプで在った。
ちなみに以降モデルでは所謂"モナカマフラー"が採用されて在るので、
現存個体でキャブトンタイプが付く場合は後年のオーナー付け替えである。







 リア廻り

リアホイールサイズはフロントに同じく3.50x19in、片ハブドラム式制動。
先述のとおり英ベロセット:KSSモデルに倣った仕様なので、後輪の懸架は緩衝の無いリジッド。
自転車様式のフレームなので、メインスタンドも後輪軸を支点とした仕様。
なおスタンドには今様の自転車のように後部への跳ね上げバネは付かないので、
後部へ解放した後にリアフェンダーの後端へ引っ掛けて保持する仕掛け。
リアフェンダーはフロント同様に鋼板プレスに拠る。
これにもフロント同様、パンク時に対処が容易と為る仕掛けが在り、
メインスタンドを掛けた後、フェンダー中程がヒンジで上方へ跳ね上げられるようつないである。
後輪軸を抜けばリアホイールはフェンダーに遮られずに外すことが容易と為る。
リアフェンダーを支えるステーは後輪軸から立ち上がり、そのまんま荷台の支えとして構成される。
荷台に重量物を積載した場合でもフェンダーに負荷を掛けずに直接、後輪軸で荷重を受けるよう配慮されて在る。
当時のオートバイが人の移動では無く、トラックと同様に運搬の主役で在ったことを窺わせる仕様。
メインシートは、これも自転車様式のフレームにマッチしたサドル形態のもの。
クッションはサドル直下に樽型コイルばねを左右に並べて支え受ける。







 テール廻り

テールランプはライセンスベースの上方にステーを介して付く。
メグロ車のテールランプとしては英ルーカス社のレンズに倣ったタイプを思わせるが後年のモデルからの使用で、
当初のモデルではこのような丸缶ケースに上下分割レンズの汎用テールランプが一般的。
ステーの脇にプッシュプルスイッチが付くが、これは夜間の尾灯、兼駐車灯として使用の際のスイッチ。







 オイルタンク

潤滑系はドライサンプ仕様なので別途オイルタンクが付く。
外装部品はフレームに合わせて塗装されて在るのが普通ですが、この個体ではメッキ仕様とされてあります。
元からで在るのかは不明ですが、Z7の場合では特注仕様として、
サイドカバー、オイルタンク、リアフェンダーステーなどの外装品をメッキ仕様で用意された由の例が在るので、
当時から特注が在ったやもしれません。







 フェルタンク

Z97から継承するスタイルパーツ。
水滴型の形態にベースカラーは漆塗り黒色、其処に金線縁で意匠を構成。
二ーパッドはラバーパッド以前のプレス成型されたメッキ鋼板製。
タンク容量は11L 由。
両サイドとも多色印刷シートより転写するトランスファー式プリンティングに拠る メグロウイングのマークが
在るのですが、この個体では経年に拠り擦れてしまって殆ど分からない程に・・・
辛うじて左サイドに面影が視られます。
なお、お馴染みと為る七宝焼きに拠るタンクバッヂはZ5の後期モデル以降から。
タンク上面には給油口キャップと速度計が並びで配置される。
















 メグロ500・Z ('49年式)
  (1949年)

特別展示がされたZ型はもう一台、これはカワサキモータースが所有する1949年製。
恐らく現在、存在が確認できる最古のメグロ車の一台で在ろうと思われる個体。
現在は那須烏山商工会が借受けて、
同工業部会のメンバーである地元企業の手に拠るレストア事業が進行中との由。
「メグロZ号 レストア Project」として、その進行状況報告を兼ねての展示が為されたもの。
ご覧のとおり、メインフレームに前後輪と周辺外装、メインシートにフェルタンクも完成された様子。
展示ではその経過様子が写真と共に紹介されてあり、地元の熱意が感じられる内容であった。
なおその様子は YouTubeにて配信公開されてられる。







 ICI型:単気筒OHV4サイクルエンジン

レストア作業中にて単体展示のエンジンユニット。







エンジン製番の打刻より、1949年式の累計258基目で在ることを示す(製番は1001より始める)
ボアxストロークは82x94、総排気量:498cc







 フェルタンク

復元のベースとした元々のフェルタンク。
先の'50年式と比べて意匠の保存状態が良い。







多色印刷シートより転写するトランスファー式プリンティングに拠る メグロウイングのマーク。

会場では既に復元製作が成ったマフラーやサドルシートなども併せて展示され、
完成が楽しみに待たれるところである。
なお作業の進行状況は逐次、上記の那須烏山商工会・WEBサイト 「メグロの聖地 那須烏山」にて公開される由。
















 メグロ500・Z3
  (1953年)

今回の特別展示を除き、一般参加のメグロ車ではおそらく最古参と為るのが此方のZ3。
先のZ型からZ2を挟み登場のZ3は、主にサスペンションの改良が為され、
Z2でフロントがガーターフォークからテレスコピック式緩衝に、Z3でリアがリジッドからプランジャー式緩衝に進化。







しかしながら、メインフレームに外装は引き続き継承されて旧態依然な戦前型仕様を残す。
車体色が標準的なブラックに替えて、渋いライトマルーンのカラーに。
おそらくは後年の塗り替えで在ろうと思われますが、同時期の英国車風な容姿でGOOD♪







 A型(ICI型改良):単気筒OHV4サイクルエンジン

Z3のエンジンも継承されたICI型ながら改良が加えられたものに。
目立つのがタイミングカバーに"メグロ"ロゴが入り意匠的な特徴と為る。
またオイルタンクも角型の缶で在った形態から丸みを帯びた水筒形に変化。
(初期型はZ2までの旧来仕様:角型の缶で在った様子)
点火系と発電系はマグダイナモを引き続き適用、変速機も手動3速仕様「メグロのギヤーボックス」







いま一つICI型からの改良として、Z2までのエンジンヘッドカバーがロッカー軸を部分的に在るのみであったのが、
Z3ではロッカーアームまでカバーが為されて、完全なヘッドカバーとして機能。
このような改良に拠り、最大出力は11HPから15HPに、最高速度も100km/hを超える。
プライマリチェーンは鈑金プレスのケース&カバーでケーシング、サイドカバーは無くバッテリーは剥き出し。
キャブレターは当時の標準品で在ったミクニアマルの別体フロート式を適用。







エンジン製番の打刻より、ICI型からの改良に拠り改めてA型のエンジン形式を登録適用。
1953年式の累計900番台で在ることを示す(製番は1001より始める)
なおZ3としての総生産台数は1118台とされて居る。

総排気量、498cc
ボアxストロークは82x94mm
最大出力、15HP/3900rpm
最高速度、110km/h
燃費、35km/L 由。







 フロント廻り

Z2より採用の時流に沿った仕様でまとめられたフロント廻り。
緩衝装置にはテレスコピック式を採用して乗り心地を重視。
ホイールサイズは19inの大径、制動は標準的仕様で在った片ハブドラム式。
フェンダーは湾曲断面でタイヤ踏面を覆う、シンプルな絞りの鈑金プレス製。
後方のステーは留めを外せばフロントスタンドに為る旧来からの仕掛け。
上部のネームプレート(風切り板)新製当時の仕様まんま様子。







 ライトケース

戦前モデルから継承のお椀型ライトケース。
ケース上面に在るのは速度計ではなく、充電監視のアンメータ。
メインキースイッチはケース後部にダイヤル式として在る。







 ハンドル廻り

ハンドルおよび付帯装備も戦前モデルから継承された仕様。
原型ではエンドグリップにクラッチおよびフロントブレーキのレバーセット、
キャブレターのチョークおよび進角操作のレバー程度の装備ながら、
現オーナー方までのアレンジ装備で賑やかなこと♪
ハンドルポストのセンター位置に在るノブはステアリングダンパー。







 後方サイド

先述とおりZ3でリア懸架方式がリジッドからプランジャー式緩衝に改良。
積貨に対応かつ乗り心地の改善に寄与するプランジャー式緩衝を500ccモデルとして初採用。
その為、後輪支持のフレーム構成、リアフェンダーステーの装備、荷台ステーの改良など形態変化。
ホイールサイズはフロントに同じく19inの大径、荷台は簡素ながら頑丈な鋼棒組みの構造。
フェンダーもフロント同様にシンプルな絞りの鈑金プレス製。
前後で分割されてヒンジで連結された後部は、側ステーを外すことでタイヤ交換際に跳ね上げる仕掛け。
エキゾーストラインもエンジンが2ポート仕様なので単気筒ながら左右両サイドに。
キャブトンタイプのマフラーを搭載するのが、この当時のメグロ車の特徴。
メグロ車のレストア再生際にキャブトンマフラーを付けるのは不似合い間違いではないが、
実際に搭載したのはZ5の初期型までと為る。
後方に消火器が携帯されて在るのはアクセサリー的要素ではなく、
オーナー方曰く「万が一の車両火災時の為」由、真剣な目的に拠る必要装備。







 フェルタンク

戦前モデルを継承する水滴型のフェルタンク。
ベースカラーにダークブラウン&サイド意匠は金線縁でチョコレートブラウンに。
対称意匠で両サイドともに多色印刷シートより転写するトランスファー式プリンティングに拠る
メグロウイングのマーク。
これが新製当時のまんまならば、本来の車体色もフェルタンクに同じベースカラーかと想定されますが、
意匠が少々粗い手書きな様子なので真相は???







フェルタンク上面の意匠、ここも金線縁でチョコレートブラウンとして在ります。
フロント寄りに左寄り:速度計、右寄り:給油口の配置。
左右サイドの二ーパッドは旧来同様のプレス成型されたメッキ鋼板製。
先の展示Z型に対しこちらは良くメッキが残ってます♪











次回は多数参加来場されてられたZ7"スタミナ"をまとめて紹介いたします!
お楽しみに♪






それでは、次回をお楽しみに!




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